人民広場に近いレストラン

短期の上海の旅行などでは、あれが見たいこれが食べたいと欲張りになってしまうと短い滞在期間ではなかなか思ったようにスケジュールが組合わせられ ないのが普通である。 　しかし、そんなわがままな旅行者の願いが叶えられそうな、レストランがあると聞いて訪れてきた。 　そのレストランとは人民広場そばの南京東路とは一本隔てた九江路沿いにある「鲜墙房永安店」というお店。 　実はこのお店は中国伝統の京劇を観賞しながら上海料理が堪能できるという時間の無い旅行者などには都合の良い非常にありがたいお店となっている。

九江路沿いに一際目立つ歴史ある白い洋風建築の中に「鲜墙房永安店」はある。 　入り口はバーか小さなホテルを想像させるような小さな間口で、うっかりすると見逃してしまいそうなくらいにこじんまりしている。 　中に入っても小さなエレベーターホールの前に案内の係員が1人いるだけでここが本当にレストランなのか不安になるたたずまいである。

非常にシックな店内

入り口で感じた不安も、少々古めかしく5～6人乗ればすぐに満員になりそうな規模のエレベータに乗って4階まで上がると、一気に吹っ飛んでしまう。
店内に入って行くとぞくぞくするような何とも趣のある装飾が眼前に広がるのだ。
5～6メートルは有ろうかという高い天井の下にシックなテーブルと椅子が並べられ、もう既に雰囲気満点である。
まるで100年ほど前にタイムスリップしてしまったのではないかとい印象さえ与える。
白いクロスが掛けられた丸テーブルも、自分が貴族にでもなってしまったかのような魔法をお客に投げかけてくる。

そしてレストランのフロアの奥にショーが行われるステージがある。
ショーが行われるのは毎週木・金・土で、毎回19時半からショーステージが行われるので、出来ればまずは早めに店内に入ってお腹をある程度満たしてからショータイムを迎えたい。

辛くない上海などの地元料理

このお店で出される料理は上海料理を中心とした地元長江デルタエリア周辺の料理となっている。
例えばこの「サウナエビ」と呼ばれる熱した石に乗せられた河エビや、ガチョウの肉、淡水魚の料理、野菜料理などが主なレパートリーになっている。
全体的に甘めの味付けで、辛い物が苦手な人にも問題なく食べられる。
一部には酒の肴を意識したのか塩気が強めの料理もあるが、ビールを飲みながら食べるにはちょうどよい感じである。

ショータイムは19時半から

さて19時半になると黒いカーテンに閉ざされていたステージの幕が開いてショーが始まる。
タイトルに京劇と書いてしまったが、ステージで演じられるのは京劇ばかりでなく同じく中国の有名な伝統劇として有名な昆劇や川劇なども登場する。
それらの有名な演目のハイライトシーンをダイジェスト版で見せてくれるという形のようだ。
昆劇にしろ京劇にしろ、音楽に合わせて唄いの調子でセリフを語るので中国版オペラと言ってもいい様式となっていて、会場内にその音楽と歌声が響き渡る。
特に京劇の銅鑼が鳴り響くと客席で会話をするのは相当難しくなるほど賑やかになる。
　
ただ、歌は良く聞こえるものの言葉そのものが非常に古い時代の物を使っているため、地元の中国人でも理解しにくいようで、ステージ上部には電光掲示板で英語字幕ともに中国語の字幕が表示されている。
中国語の分からない人は英語字幕を見ることになるが、どうも翻訳が不正確な面もあり、それほど複雑なストーリーも演じられていないようなので、寧ろ字幕に頼るよりステージ上での役者の動きを見て雰囲気を楽しむ方が楽しみ方としては正しいようだ。

今回見た昆劇も京劇も激しいアクションはないものの、唄いの美しさや舞台化粧の鮮やかさは目を見張るものがあり、至近距離でこういった伝統芸能の舞台を楽しめるというのは非常に貴重なチャンスである。

ステージは1時間ほどで終了するが、夜19時前後から食事をスタートすると、ショーが終了する頃にはちょうどお腹も満たされいい頃合いとなる。
そのまましばらく食事を楽しんでもいいし、お店を出て夜風に吹かれながら南京東路を歩き外灘の夜景を見てから帰ってもちょうどいい。
上海観光の一つの選択肢としてとっても便利なこのお店、上海に住んでいる方にも是非一回訪れてもらいたい。

＜お店データ＞
『鲜墙房永安店』
住所：上海市黄浦区九江路600号4階5階
電話：021-63515757
予算：平均250元/人
※ショーは毎週木・金・土の19時時半から

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